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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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対立回避のためには具体的プログラムを

2014年2月22日付 中外日報(社説)

日本の多くの宗教団体は、平和の実現をうたっている。そのための組織が幾つか設立され、会議も開催されている。世界宗教者平和会議(WCRP)という、まさにその目標を掲げた組織もある。

そうした組織に多少なりとも関わっている人にとって、昨今の東アジアの政治的な関係の悪化は、非常に気になると思われる。言わなくてもいいことを政治家が一言発しただけで、それまでの草の根的な交流の成果が水泡に帰したことは、これまで何度かあった。

国際的な経済交流や文化交流にとって、相互の政治的関係が安定的であることが何よりである。気になるのは、若い世代で必ずしもそうした認識が高まっているようには思えないことだ。「ネトウヨ」「ネット右翼」という言葉があるが、インターネット上には、過激な愛国主義の言葉が飛び交っているサイトが少なくない。

そこではヘイトスピーチよりもはるかに侮蔑的で排外的な言説が流れている。この多くが若い世代によるという確たるデータがそれほどあるわけではないが、幾つかの状況証拠がその可能性を示している。仮にそうだとしたなら、極めて憂うべき事態である。

戦争を賛美するような映画が人気を呼んでいるが、数多くある戦争ゲームや闘いのシーンが続くゲームに慣れ親しんだ若者が、争いがもたらす悲惨な結果を想像できなくなっている、というようなことがあってはならない。

遠くの国とは仲良くできても、近隣の国と仲良くするのは難しいといわれる。遠方の国より近隣の国とは利害が相反することが多くなりがちであるから、それはある意味でやむを得ないだろう。競争と対立は根本的に違うのだが、時にそれは混同される。国同士が張り合うことがあっても、あくまで競争にとどめるべきであって、対立に至ってはならない。宗教関係者が関わる組織は、このことを具体的なプログラムを通して若い世代に伝えねばならない。

そのために実際に相互に交流できる機会を今以上に増やすことである。相手を侮蔑すること自体に快感を覚える人たちには、こうしたプログラムも効果が薄いかもしれない。だが実際に中国や韓国の人たちと接したことがなく、メディアやインターネットを通しての情報によって偏ったイメージを形成してしまったような人は、直接顔を合わせ交流することで、それを変える可能性がある。

宗教関係者は、今こそそうしたプログラムの実施に、積極的になるべきであろう。