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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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静かに起こっている宗教を見る目の変化

2013年12月26日付 中外日報(社説)

今年は伊勢神宮の第62回式年遷宮が大きな話題となった。約60年に1回の出雲大社の遷宮も重なり、神社への関心度は戦後最も高まったと言っていいだろう。

伊勢神宮への参拝者は、前回の式年遷宮の年に比べてずっと多く、またメディアの注目度も格段に高まった。4月から6月まで2カ月近く東京国立博物館で開催された「国宝・大神社展」も19万人余の入場者がいた。

仏教美術への関心も持続している。平成21年に興福寺創建1300年を記念した阿修羅展が90万人以上の入場者を記録して一挙にブームに火が付いたが、今も関心は持続している。伝統宗教の文化的側面への関心の高まりを反映しているのだろうが、信仰面の関心はそれに伴っているだろうか。

「宗教と社会」学会の宗教意識調査プロジェクトと、国学院大日本文化研究所のプロジェクトによる合同アンケート調査の第11回の結果が1月に公表された。それによると、21世紀に入り信仰を持つ学生、宗教に関心がある学生が明らかに増加傾向だという。東日本大震災以後、宗教の社会貢献も注目され、宗教が共同体に果たす役割が、あらためて見直されたような気配も確かにある。

しかし他方で、「癒し」や「スピリチュアル」の名のもとに、注意を要する動きが広まっているのも事実だ。試みにインターネットで「癒しフェア」とか「ヒーリング」というキーワードで検索してみればいい。おびただしい数の団体名があることに気付く。

活動内容は多種多様で、現代人の多様なニーズに合わせていることが分かる。だが中には科学的な装いの用語を交えつつ、根拠の乏しい誘い言葉を並べるものが見られる。これらはパワースポットブームなどと深いつながりを持つ可能性がある。その影響にも注意を向けないと、形を変えたカルト問題の進行にも気付けなくなる。

今年は日中関係、日韓関係の悪化の影響もあって、東南アジアとの関係の深まりが目立ってきた。認知度が低かったイスラム法に基づく食材等の禁制「ハラール」も人口に膾炙するようになった。

東南アジアには、ムスリムが多いし、上座仏教徒、ヒンズー教徒もいる。これまで以上に宗教への配慮が必要になる。ビジネス関係者は少しずつそれに気付き始めた。関連する書籍の増加がそれを物語る。東南アジアの人々との交流の深まりは、日本における宗教文化の問題を一段と複雑なものにするのは間違いない。宗教関係者はそれへの心構えが欠かせない。