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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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相次いだ悪意の嘘 偽装は犯罪同然だ

2013年12月7日付 中外日報(社説)

「第3次世界大戦は雨で中止になりました」。ずっと以前、4月のエープリルフール「うそコンテスト」で優秀賞を受けた子どもの作品だ。嘘は、すぐにそれと分かるものであって初めて他愛のない、場合によっては諧謔と機知に富んだものとなる。

だが、「誰にも分からないだろう」と姑息にたくらんだものは、これを虚偽、欺罔という。仏教の「不妄語」戒を持ち出すまでもなく、許されないことは明らか。相次いで明らかになった一連の「食材偽装」はその最たるものだ。

「我も我も」と、まるで流行のように急いで公表が続けられたのも「後になって隠しているのがばれたらまずい。今のうちなら数ある偽装の中で目立たないだろう」といった魂胆が見え隠れした。

結局、食材表示にルールがないことが問題、と規制作りの話になりはする。だがそれは、いじめや体罰あるいは個人情報流出などの事例が、広範な社会問題化の後に法制化へと同じような経過をたどるのと同様であって、個別の事件の責任を負うべき者を免罪するものではない。

金もうけ、利益目当てでバナメイエビを芝エビと、サギをカラスと強引に言いくるめるのは悪意に満ちた虚偽であり、詐欺、つまり「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」という刑法246条の罪に相当するだろう。「虚偽ではなく『誤表示』」などと言い逃れようとするのは、さらに偽りを重ね、情状を悪化させるだけだ。

しかし、命に関わる危険性や不採算性を覆い隠し、「絶対安全・安価」と言いくるめた「神話」が流布されてきた原子力発電の虚偽は、もっと深刻だ。かつて、事故が起きても、「不具合」「異状」「トラブル」と「誤表示」し続けた電力業界と、それをそのまま垂れ流した巨大マスメディアは、だがなかなか反省はしない。

あろうことか、東京電力福島第1原発では連日のように汚染水が漏れているのに、「コントロールされている」と世界に向かって言い放ったこの国の指導者は、原発輸出に執心している。

「核発電」と、原発を正しく表示しようという動きが注目されている。東日本大震災が起きた2011年、福島原発の事故によって多くの人々が極限の苦難を強いられ、国や電力会社に振り回されていることをめぐり、地元福島の曹洞宗住職は寺が発行する機関誌で、「今年を表す漢字は『嘘』だ」と訴えた。さて、あと1カ月を切った今年は……。