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手本にならぬ国会 教え中心の議会に

2013年11月28日付 中外日報(社説)

「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」。国会はわが国の国政において極めて重要な地位にあり、それに見合う役割を担うことを期待されているが、最近の国会の在り方は憲法と国民の期待から乖離していると言わざるを得ない。

全ての有権者が平等に投票権を行使するのが民主政治の根幹だ。しかし、「1票の格差」を問う裁判で、「違憲」「違憲状態」、さらには「選挙無効」の判断が示されても、国会議員らは何ら痛痒を感じないようだ。

昨年末の衆院選直前に「0増5減」の緊急是正法を駆け込みで成立させたことを、最高裁判決が「一定の前進」と評価したことに安堵した議員も少なくないようだが、国会が長年放置してきたこの問題はそんな小手先の是正案で繕えるような状況にはない。

そして、「違憲」または「違憲状態」の選挙で選ばれた議員らが、国民の知る権利や表現の自由など憲法が保障する基本的人権を侵害しかねない「特定秘密保護法」を成立させようとしている。

法案提出前のパブリックコメントで8割の市民が反対していたにもかかわらず、衆院国家安全保障特別委員会は20日間で法案の審議を終了、26日、与党は数の力で強引に衆院可決に持ち込んだ。

憲法を蔑ろにしていると疑いたくなるような議員が多数を占めている国会を、果たして国権の最高機関、唯一の立法機関として受け入れることができるのか。多くの人たちがそんな疑問を抱かざるを得ない国会の愚挙、暴挙だ。

宗教団体にも議会制度を取り入れている所は多い。そもそも日本の近代的な議会制度は明治14(1881)年に西本願寺教団で初めて導入された。帝国議会の開設の9年前のことである。

多種多様な価値観や思想、信条を持つ人たちで構成される国家と、同じ教えを信仰する人々の集まりの宗教団体とではその議会の役割もおのずと異なる。教えは二の次で、政治的駆け引きが幅を利かす"ミニ国会"のような宗門議会であってはならない。

西本願寺の故大谷光照前門が、同教団の宗会開設100周年の祝賀会で、同じ志を持った者の集まりの宗門の議会が国会や地方議会と似通っていることに疑問を呈し「宗門の総意を表す組織はどんなものがいいか、ここらで根本的に考え直すべきだ」と述べた。

「由らしむべし知らしむべからず」。このような感覚しか持ち合わせない今の国会から宗教教団が倣うべきものは何も無い。