ニュース画像
多くの人が見守る中、彰義隊墓所で盛大に営まれた150回忌法要
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

真実に向き合う記事 新聞週間に報道問う

2013年10月10日付 中外日報(社説)

「11日、寺の東日本大震災慰霊塔前で法要」「石巻市渡波の生徒らが駅前の花壇を清掃」。宮城県牡鹿地方を地元とする『牡鹿新聞』には、地域の話題が満載されている。公民館の親子陶芸教室、町内の男性が東北柔道大会で優勝、祭りや「シカを避けようと車が崖下に転落も無事」との事故の記事も。石巻の社屋は津波で全壊し、現在は空き地のプレハブ小屋で数人で取材、編集業務を続ける。

15日から始まる新聞週間の標語佳作「ふるさとの季節の香り 運ぶ記事」そのままのタブロイド紙面は、壊滅状態の地域の人々の心が重なる場ともなっている。

岩手県大槌町の仮設店舗から発行される『大槌新聞』には、災害公営住宅募集や町の住宅再建補助制度などが被災住民の立場に立って分かりやすく報道されている。全4ページには、地区の盆踊りの写真、頑張って再開した商店の紹介、「大槌わんこ」というペットコーナーもあり、終面の半分が空白のままで「広告募集中」とあるのがいかにも手づくりらしい。

新聞には、小さくても人と人とを結び付ける力がある。「負げねぞ!」のロゴが鮮やかな同県の『復興釜石新聞』トップには、全国から町づくりと産業再生支援に駆け付け、市の委嘱を受けた民間「釜援隊員(釜石復興支援員)」たちの笑顔が並んでいた。

原発事故の被害に苦しむ福島県も同じだ。全町民が避難を強いられた浪江町の、福島市役所内にある役場出張所には、各地へ離散した人々のつながりを求めるさまざまなミニコミ新聞が置いてある。

『浪高(浪江高校)同窓会報』には県内外の卒業生や遠く関東まで避難した先輩らのメッセージに、現役生徒や教師の「頑張ります」という近況報告が並び、NPOの『浪江かわら版』には農家の活躍ぶりや仮設住宅での住民の集い、イベントの記事がいっぱいだ。

そして市民団体の『おたがいさま新聞』は、浪江町民と避難先の土地の住民との交流を目指す。役場に取材した「今後の浪江」から、寺での写経の会のにぎわい、ボランティアの活動紹介や手づくり展の作品募集。一方で「笑顔」欄に寄せられた避難者の便りには「子供が小さいので、もう浪江に帰ろうとは思いません」「生活の見通しがない」との重い言葉も。

地域の人々の生活の息づかい。そこに、新聞週間標語「いつの日も 真実に向き合う記事がある」に言う真実がある。巨大新聞が、被災者を置き去りにする経済政策を持ち上げ、原発推進を言い立てるばかりであってはならない。