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広がる「ネット依存」 活字文化の見直しを

2013年8月31日付 中外日報(社説)

厚生労働省研究班の調査で、インターネット依存の中高生が全国で推計52万人もいることが分かった。ネット上で情報交換やゲームに没頭し、そのため睡眠の質が低下したり、さらに家庭内での会話も減少するなど、健康や人間関係の面で影響を与えるようになっている。

こうした傾向に拍車を掛けるのはスマートフォンの普及であろう。ネット使用も長時間化する傾向にあり、「休日で5時間以上」が、高校生では2割以上にも上るという。時間を短くしようとするが、なかなかうまくいかない。常に新しい情報に接しないと不安になり、誰かから連絡や反応が来ないと落ち着かず、新着情報やメールを毎日何度もチェックする。

インターネットの登場以後に生まれた世代を、デジタルネーティブと呼ぶ。現在の中高生は明らかにデジタルネーティブ世代だ。この世代は、物心ついた時からすでにネット環境の中にあり、それを当たり前のように生きてきた。彼らは現実とネット上の出来事を区別せず、区別できない、また情報は無料で得られるものと思うといった特徴が指摘されている。

見逃せないのは、知的生活に与える影響が大きいことだ。何か調べ物をしようと思っても、本や辞書類には手が行かず、ついパソコンの電源を入れてしまう。もちろん、ネットは情報ツールとして利便性が極めて高い。しかしそれだけに、手っ取り早く検索をかけ、情報を収集して、それで事足れりとしてしまい、じっくりと書物をひもといて調べたり熟考したりする習慣が薄れがちだ。この傾向は実はあらゆる世代を通じて見られ、中高生や若者だけをネット依存だと責められない。

書物を手に取り、活字を目で追うのは主体的な努力が要る。しかし、そこには確実な手応えがあり、その中で自分の思考力や創造力の糧となる知識を増やしていくことができる。さらに紙に定着したものを繰り返し読むことで問題意識も深まり、自発的で柔軟な批判精神も養われていく。

本紙も、ウェブ上で一部主要紙面を公開している。仏教界・宗教界の動きを知るために大いに活用してほしい。「社説」や「論・談」も新着記事からバックナンバーまで提示している。そして何よりも紙媒体の紙面において、より詳しくきめ細やかな情報を載せている。読者には紙媒体ならではの手触りや手応えを感じ、自ら考え実践するためのもろもろのヒントを入手していただけるものと確信している。