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不活動法人は本当に「不正の温床」なのか

2013年8月29日付 中外日報(社説)

正しいとは言えない言説が独り歩きし、現実とは異なるイメージを定着させることはよくある。不活動法人と宗教法人売買の関係もその一つではないか。

宗教法人格が売買の対象になっていることは事実である。法人格そのものを売り買いするのではなく、実際は金銭の授受を伴う代表役員の交代ということになる。

いつの頃からか、不活動宗教法人はそうした「不正行為の温床」だとする議論が通用し始めた。文化庁や各都道府県の宗教法人担当者は、宗教法人法に基づく備付け書類の提出で不活動法人を特定しようとしているが、提出義務を怠る法人が多く、不活動法人対策(宗教法人売買など不祥事予防)の上で問題になっている、といった文脈で語られることが多い。

平成7年の宗教法人法改定で義務付けられた備付け書類の所轄庁提出については、政教分離の原則に抵触するという根強い批判があるが、いまはこの大きな問題には深入りしない。考えてみたいのは不活動法人が「不正行為の温床」という決め付け方は正しいかどうかという点だ。その表現は平成23年度始動の「不活動宗教法人対策推進事業」の実施要項(文化庁次長決定)にも記されており、文化庁も共有しているらしい。

不活動宗教法人の定義は曖昧だが、文化庁宗務課によると宗教法人法第81条の解散命令事由(礼拝施設の滅失、代表役員の欠員など)を参考にしているという。しかし、このような法人は「売る側」が不在で、売買は成立しにくい、と常識的には考えられる。不正目的の売買対象になるのは、上記基準で所轄庁に「不活動」と認識される以前の法人だろう。

むろん、活動を終えた宗教団体が法人格を持つ必要はないので、整理すべき事は言うまでもない。だが、行政が宗教法人制度の信頼性を貶める「不正行為の温床」という形容をここで使うことには疑問を持たざるを得ない。

これと同様の不正確なあるいは誤った言説は他にもある。特に気になるのは「宗教法人の認可」という表現だ。宗教法人設立の法人規則「認証」申請を経験すれば、「認可」(あるいは「許可」?)と間違うのも無理はないが、認証制度は宗教法人法の根幹である。

認証と認可では法律の性格がガラリと変わってくる。「認可」と思い込んでいる人は根本的な部分で、宗教法人法を誤解していることになる。所轄庁の対応がこうした誤解の主因であるのだから、行政も何か思い違いをしているのだろうか。