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子どもの貧困対策法 負の連鎖断つ施策を

2013年7月4日付 中外日報(社説)

生活が苦しい家庭の子どもに対する学習支援などの実施を国や地方自治体に義務付ける「子どもの貧困対策法」が国会会期末の6月19日に成立したが、参院選に向けた憲法論議や衆院選の区割り法案などの陰に隠れ、あまり注目されることはなかった。

貧困問題というと、まず思い浮かぶのは、ホームレスや派遣切りなどのように大人の問題としての貧困だ。ある調査で、生活保護と聞いてどんな人をイメージするかと問うたところ、「子ども」と答えたのはわずか2%だった。

しかし約215万人とされる生活保護受給者の7分の1、約30万人は貧困世帯の子どもだ。このような貧困状態に置かれた17歳以下の子どもたちの割合を示す「子どもの貧困率」は15・7%で、経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国中、11番目に高い。ひとり親世帯に限れば約50%の子どもたちが貧困にあえぎ、上級学校への進学の道を閉ざされたりしている。

先進国として憂慮すべき事態であり、子どもの貧困を前にしては生活保護バッシングのような自己責任論もさすがに影を潜め、与野党が歩み寄り、全会一致で対策法を成立させた。

対策法は3年前に成立するはずだったが、当時の鳩山由紀夫首相の辞任騒ぎで流れた。この3年間の空白が、本来なら高校や大学へ進学することができた子どもたちの進路を閉ざしたとするならば、政治家らの責任は重い。

今後、国が大綱を策定し、大綱に基づいた対策を国、地方自治体が責任を持って実施することになるが、政府や地方自治体は、再び行政の不作為や怠慢によって子どもたちの将来の夢や希望が奪われることがないよう、本腰を入れて対応に当たってもらいたい。

子どもの貧困対策で最も肝要なことは貧困の連鎖を断つことである。国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩・社会保障応用分析研究部長によれば、貧困層の子どもはそうでない子どもに比べ、学力が低く、非行・不登校が多く、児童虐待に遭う率も高いという。そして、子ども期の貧困は子ども期だけで収まらず、この「不利」が一生にわたって付きまとう可能性が高いとされる。

子どもの貧困に無関心でいることは、このような社会の歪みを拡大させるだけだ。対策法が「子ども等が夢と希望を持って生きることのできる社会の実現」を目指すならば、学習支援などの対策にとどまらず、社会の関心を喚起して貧困の連鎖を根治する抜本的な解決策に切り込むべきだ。