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大学の「カルト」問題 宗門校も強い意識を

2013年4月25日付 中外日報(社説)

間もなく5月。新社会人や新入学の学生にとって、新しい環境に慣れ始めたころだろう。その一方で、五月病という言葉があるように、就職や進学という大きな目標を越え、未来への希望と不安が交錯し、心理的に不安定な時期でもある。

この時期に限られるわけではないが、大学のキャンパスでは、社会的に問題を引き起こしている、いわゆる「カルト」団体による「正体を隠した勧誘」が問題化している。

勧誘する側は憲法によって保障される信教の自由を主張するようだ。しかし、その主張は、批判されている勧誘の手法とどうもそぐわない。

全国カルト対策大学ネットワークの川島堅二・恵泉女学園大学長によれば、勧誘され入信した学生のうち、見逃せない確率で退学、留年者が発生する団体が幾つか特定できるという。大学にとっては、本来の目的である教育の環境を良い状態で維持するためにも、これらの正体を隠した勧誘は看過できない。

宗教についての知識や、信仰というものに関する理解を持つ学生たちであれば、それらの団体に関する何らかの情報、接触を持った時に感じたわずかな兆候から判断し、自己責任で対応できる部分があるかもしれない。

しかし、公教育において、宗教に関わる常識を与える機会が全く不足しているのは周知の通りである。巧妙に組み立てられたマニュアルに基づく「正体を隠した勧誘」に対して、無防備な学生が非常に多いと考えるべきだろう。大学の公認サークルで偽装されているようなケースもある。多くの大学はこれまでかなり脇の甘い対応をしてきたことは否定できない。彼らをリスクから守る配慮が必要だ。

ところで、宗門系の大学の場合はどうだろうか。宗教のイメージを隠す学生募集戦略が奏功し、入学式で壇上に法衣の来賓が並んでいるのを見て、学生の保護者が初めて仏教系大学だと知った、という冗談のような話も聞く。宗門系大学に入った学生も普通の若者だ。宗教に関する知識は乏しいと思った方がよい。建学の精神、宗派の教学を踏まえた宗教的良識の教育が問われる。

他の「宗教」への対策は、宗門校なればこその微妙なためらいがあるかもしれない。だが、キャンパスが社会的相当性を欠く活動に利用されてはならない。宗門校もこの問題にもっと関心を持つべきだろう。