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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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変容する家族の関係 世直しの処方箋は?

2013年2月19日付 中外日報(社説)

昨年10月の内閣府の世論調査によると「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に賛成する人の割合は、今まで減少傾向にあったのが、初めて増加に転じ約52%に達した。平成21年の前回調査より約10ポイント増えた上に、20代の賛成が急増している。

初めて調査が行われた昭和54年当時は賛成が72%強、反対がおよそ20%であったが、時代を追うごとに賛成が減る一方で、反対が増加していき、平成16年にはついにこの比率が逆転。21年には賛成が41%程度にとどまり、反対が約55%だったので、大きな逆転現象が起こったといえよう。

この間に東日本大震災が発生し、その後に家族の絆をより重視するようになった傾向の表れと見る向きもあるが、一時的な現象と捉えるべきか再び逆転に転じるものか、見極めが難しい。

宗教者はこの傾向をどう受け取るべきか。伝統的な良妻賢母への復帰として評価するか、それとも女性の社会進出が抑制されていることに批判的な態度を取るだろうか。どこに視点を置くかによって異なる評価になるだろうし、また宗教者が女性か男性かによっても評価が分かれるかもしれない。

一つ確実に言えるのは、過去数十年の男女共同参画推進で女性の社会進出が進んだが、現実は長時間労働や低収入、仕事と育児の両立、非正規雇用の増加、格差の拡大のために、期待していたほど人々の幸福感に寄与してこなかったという実感があったことである。

ここで肝心な点は、女性の社会進出か家庭回帰かという二者択一的な解決法に陥らないことである。「良妻賢母」を主張するのなら、「良夫賢父」も同時に言わなければ不公平だろう。

かつては、家族は生活の場だけでなく労働の共同体であり、社会生活と家庭生活は地続きであった。現代のサラリーマン家庭に同じことを期待するのは、難しいように考えられるかもしれない。しかし、閉塞した経済状況の中、逆に夫婦共稼ぎでないと暮らせない状況が出てきたのも事実である。むしろ経済的に苦しいからこそ、二人で助け合って暮らすという人生の選択肢が必要になってくる。そうすれば、昨今の非婚化傾向も回避できるだろう。

宗教者は人々の幸せを祈り、その実現に向けてそれぞれの教えから世直しの処方箋を出していくのが社会的な使命である。自分自身の家庭をも含め、身近な人々の思いに耳を傾け、男女ともに幸せになる生き方の筋道をつけていくことが求められる。