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エネルギー問題を巡り さまざまの報道続く

2013年2月5日付 中外日報(社説)

原発の再稼働に反対する東京の"金曜デモ"は、人数は減ったが寒中も続けられた。参加者の意識は多様化したのか「一部の過激なシュプレヒコールには違和感を覚える」という人もいるとか。そうした中、イスラム過激派によるアルジェリアの天然ガス関連施設へのテロ事件が伝えられた。

原発に代わる新しいエネルギー源の一つは天然ガスだ。しかしその天然ガス採掘のためのプラント建設を、サハラ砂漠の過酷な条件下で、日本の企業が営々と進めていることは、あまり知られていなかった。「日揮」という会社の存在を初めて知ったという人もいたのではないか。

テロの犠牲になった人々はもとより、その家族らの心情を考えると、言うべき言葉もない。グローバル経済の時代に、企業の活動の場は国境を越えて拡大するが、政府の力は国の内部にしか及ばないと指摘する学者がいる。天然ガス事業の立て直しは、容易なことではあるまい。

さて、アルジェリア事件報道のさなかに、ユニークな新聞記事を見た。劇作家で元中央教育審議会会長・山崎正和氏の寄稿である。山崎氏は、最近読んだ一般向きの科学啓発書の中にある科学者2氏の対談内容を、要旨次のように紹介していた。

原子炉(原発)で使用済みの核廃棄物の中には、放射能の減衰期が10万年単位のものがある。地下深く埋蔵しても、10万年単位だと現在の人類が責任を持って管理できるかどうか。

しかしADS(加速器駆動核変換システム)という施設を造り、核廃棄物に中性子を照射すれば、減衰期が数百年という物質に転換することができる。数百年という長さなら、数世代の申し送りで核廃棄物の行く末を見届けることが可能だ、と。

原理を言うと簡単なようだが、実際にその処理を行うためには、巨大な装置を開発しなければならない。今のところADS関連の研究は、日本とベルギーが先行している。だが日本がまだ準備段階でしかないのに、ベルギーは3年後に施設着工の態勢にあるという。その格差は大きい。

10万年といい、数百年といい、実際にどの元素のどの同位体を指すかを山崎氏は示していないが、対談の主は理化学研究所の岸田一隆、日本原子力研究開発機構の大井川宏之の2氏という。

宗教界には原発問題に関心を持つ人が多いが、核廃棄物処理という避けて通れぬ問題にも、意見提起を期待したい。