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女性の能力の活用が日本社会再生のカギ

2013年1月26日付 中外日報(社説)

女性の社会進出の水準を測るさまざまな国際指標で日本の成績が良くない。昨秋、ラガルドIMF専務理事がNHKのクローズアップ現代「女性が日本を救う?」で「女性のリーダーをもっと増やさねば」などと語り話題になった。だが年末の総選挙では女性議員が多数落選し、男女比率7・9%で世界順位162位に後退した。中東のイスラム圏並みだ。韓国ではその3日後、女性大統領が誕生した。事ほどさように日本は女性の力が十分活用されず、バブル崩壊後の「失われた20年」もそれと関係があるといわれるほどである。

国際指標の話を続けると、例えば「ダボス会議」で有名な世界経済フォーラムの『男女格差報告2012年版』では、日本は男女平等の度合いが調査対象135カ国中101位で前年から三つ下がった。中国は69位だった。この報告は女性の労働への参加や男性との賃金格差、管理職に占める割合など雇用関連と教育の程度、健康、政治への関与などの社会的指標を個別に評価し、総合点で順位を決める。日本の女性は教育と健康などトップクラスの一部指標を除くと、おしなべて評価は低く、上述の国会への進出の遅れのほか雇用面での男女の不平等が目を引く。

ラガルド専務理事は女性の能力活用が人口減社会に入った日本再生のカギと提言したが、現実は逆さまの感さえある。幾つか挙げると、日本の大企業で課長以上の管理職に占める女性の比率は7・3%で、役員ではわずか1・4%。トップのノルウェーの女性役員は44・2%である。子育てしながら働く日本女性の給与は男性より6割も低く、先進国グループの経済協力開発機構(OECD)34カ国中最低。また、働く女性の半数以上は非正規雇用という。

こうした男女格差の実情は「機会均等に反し、民主主義の後進性の表れ」とも評されるが、なかなか改善しない。この分野はマスコミ界も遅れており、日本新聞協会加盟の新聞・通信社の女性記者の割合は15・6%(平成22年)である。近年、女性記者の採用が増えているものの「男社会」返上はまだ先のことになりそうだ。

ところで、以前(昨年1月26日付)にこの欄で触れた寺族・坊守グループなどによる「ジェンダーイコール」を目指す運動の進展ぶりが気にかかる。釈尊の教えの原点に立ち返って現代仏教を問い直す狙いがあるようだが、今の時代に女性の声に鈍感では仏教界も社会の要請に応えられまい。運動の今日的意味が、新たな視点でもっと議論されていいように思う。