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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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この1年の宗教界 様々な事件と課題

2012年12月27日付 中外日報(社説)

今年は宗教界にとっては、再度自分たちの身の回りの出来事、あるいは日頃の活動を再考させるような出来事が幾つかあった。

オウム真理教による地下鉄サリン事件関連では、指名手配者となっていた最後の3人が相次いで逮捕された。今後、この事件をどう伝えてゆくか、何を教訓とするのか。これは宗教家や宗教を研究対象とする人々がまずは考えるべきことである。すでにサリン事件直後に大きな関心を呼んだいわゆる「カルト問題」は、「喉元過ぎれば」の状態に近くなっている。

小さいことのようで見過ごせない事件も起きている。2月には、風俗店で働く韓国人女性を宣教師と偽って在留資格を不正取得させた教会があり、牧師らが逮捕された。9月には京都市にある宗教施設内で、信者に集団で暴行を加えて死なせたとして、宗教法人「空海密教大金龍院」の信者9人が逮捕された。

現職警官も関わっているとして注目された「神世界」グループによる霊感商法事件は、5月の横浜地裁の判決で、教祖は懲役5年となり、また7月にグループ7社が解散した。

国際的にはイスラームに関わる諸問題が依然厳しい状況にあり、この傾向は今後も強まる可能性が高い。6月に予定していたレディー・ガガのインドネシア公演は、一部のイスラーム教徒の強硬な反発があって、主催者から中止が発表されるに至った。アメリカで製作された「Innocence of Muslims」という映画の予告版がユーチューブに投稿され、9月になってイスラーム教徒が各地で強い反発を示して国際的問題へと発展した。

こうした緊張を強いるようなニュースの一方で、金沢市の話であるが、モスク建設を進めてきた石川ムスリム協会と地元町会の間で、建設の合意が交わされるという出来事があった。8月のことである。1年間の協議を経ての結果だが、粘り強い話し合いによる解決は一つの良きモデルたり得る。

宗教が絡む事件は、一部の人々が関わることであっても、社会では、「だから宗教は」というネガティブな反応がしばしば起こる。また不安な時代には、自分とは異質な宗教や文化を打ち砕くような強い姿勢をよしとする風潮が強まる傾向がある。

そのような動きが生じた時に強い歯止めの機能を果たすため、具体的努力を考え実行していくことは、宗教関係者が本領を発揮すべき場であろう。この1年を振り返ってみても、視野に入れるべき課題は実に多いことが分かる。