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臘八接心の季節に公示される総選挙

2012年11月29日付 中外日報(社説)

仏教界では成道会にちなむ臘八接心、あるいは寒一百日修行。キリスト教界では待降節。聖なる思いの高まる季節に、俗の世界の総選挙が公示される。

今回の総選挙は、国会での党首討論の中で衆議院の解散日が予告されるという異例さだった。野田佳彦首相の「2日後解散」発言には、野党が意表を突かれたのは当然だが、与党の方が驚いたという説もある。憲政史上に語り継がれる解散ではないか。

異例といえば、この総選挙を闘う政党の数の多さだ。2ケタに及ぶ政党が名乗りを上げている。しかも解散から公示に至る短期間に、結党したかと思うと、数日後には他党と合流する例もある。それぞれ、政治的信念に基づく行動であろうが、選ぶ側は当惑していないだろうか。

例によって報道機関は「どの政党を支持しますか」の世論調査を展開した。ところが、既成政党を優位とするものと、新しい政党の健闘を示すものとの二極に分かれた。これも異例のことだ。

最近の世論調査は、各社から委託を受けた調査機関のオペレーターが、抽出された電話番号のボタンを押して質問事項を伝え、その答えを集計する。内情を知る人に聞くと、新政党の名を全部読み上げて質問した社の調査では、新政党支持の比率が高かった。だが新政党を「その他の政党」扱いした社の調査は、既成政党優位の結果が出たそうだ。

世論調査のさなかにも、政党の編成替えや、議員の所属変更が相次いだ。世論調査担当の記者は、悩み抜いたことだろう。

さて、総選挙を「俗の世界」と記したが、日本の国会制度は、宗議会を模範として制定されたものだ。明治維新の直後、勤王派と佐幕派の対立が残る中で、国会開設運動の波に直面した新政府の長州(山口県)系政治家は、宗制改革を目指す浄土真宗本願寺派の動きに注目した。明治14(1881)年創設の同派集会の運営ぶりを見極めた後、同23年に国会の前身、帝国議会を召集している。

それにしても、12月総選挙とは慌ただしいことだ。総選挙の歴史を顧みると、昭和の後半には、12月投票の総選挙が4回も行われている。しかも昭和44(1969)年、第2次佐藤内閣による解散では、投票日が12月27日。12月16日投票の今回よりも、さらに押し詰まった日程だった。

日本の未来に関わる難しい選択だが、有権者それぞれの平常心で判断して、一票の行方を決めたいものである。