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中学校でのいじめと教育界の宗教色排除

2012年7月26日付 中外日報(社説)

発言するたびに反響を呼ぶ橋下徹・大阪市長は、この問題でも発言した。大津市の中学生の自殺について「大津市の教育委員は責任者として失格。機能していない。ウミの中のウミだ」と批判したという。他の自治体の問題をここまで酷評するのは異例だ。

昨年10月の中学生自殺は、保護者から「いじめが原因だ」と申し出があり、学校は全生徒からアンケートを集めたが「いじめと直接関係はない」として対応せず、警察も介入しなかったと、伝えられている。

半年以上たってから各紙が大々的に紙面で取り上げたのを機に、学校も警察もようやく当初の姿勢を改め、動き始めた。だがその中で、大津市教委事務局の上に立つ教育委員らの、前面に出ようとしない消極的な姿勢には、批判の声が高まっている。

橋下氏といえば4年前、大阪府知事に就任した時、府の教育委員と初顔合わせの席でいきなり「ビジョンは?」と問い掛けた。教育問題にどんなビジョンを持っているかをただし、明確な答えをしなかった委員は、再任しなかった。教育委員である以上、常に問題意識を持つべきだ、が橋下流の考えのようだ。

更迭された教育委員のために弁明すると、教育委員会は「レイマン(素人)コントロール」の原則で運営されている。専門家の気付かぬ市民の感覚で教育行政に参画するのが建前だ。

だから"平時"にはビジョンを示さなくてもよい。しかし中学生が自殺するとは、よくよくのことだ。5人の大津市教育委員は誰一人として、その異常さに気付かなかった。市民の感覚で、進んで追及すべきではなかったか。

論議の高まりとともに、各紙は教育委員批判の声を紹介した。委員は非常勤でボランティア的気分だ、お客さん的感覚だなどの意見の中で、産経新聞の伝える片山善博・前総務相の指摘は「教育現場は仲間意識が強く、かばい合い。責任を取ろうとしないムラ社会意識」(要旨)に支配されている、と手厳しい。

ある新聞によるとこの半年間、大津市教委の議事録に教育委員が自殺問題で発言した記録はない。一部教育委員はそれを反省していると、別の新聞が伝えている。

戦後の教育界は、戦前戦中の教育を反省してか、宗教と関わることを極力避け続けてきた。そのことが一部とはいえ教師、生徒、保護者らの道義心の欠如を招いていなかったであろうか。宗教者の発言が期待される。