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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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大災害への対応にアナログ的視点も

2012年5月1日付 中外日報(社説)

「新聞の地図を見て、ドキリとしました」と語るのは、千葉県浦安市のAさんである。東京ディズニーランドの所在地として知られた浦安市は、東日本大震災では住宅地の液状化被害が大きかったことで注目された。

「新聞の地図」とは3月末、文部科学省の研究チームが公表した首都圏の震度予想地図だ。東京湾北部でマグニチュード(M)7級の地震が起きた場合の揺れを予想して、震度5弱から7まで色分けしている。震源マークは、浦安市付近に記されていた。

もし浦安市付近が震源だったら各地の震度はこうなる、という試算だが、液状化被害の記憶があるだけに、この予想地図を示されれば、Aさんならずとも浦安市民はドキリとするだろう。

地図には、予想される被災者数や倒壊家屋数などの数字が添えられており、人口密度の高い首都圏だけに、大きな数字が示されていた。水や食料品をはじめ、非常事態に必要な物資の備蓄の大切さを再認識させられた人が多かったと思われるが、理科系出身のAさんはさらに、電源喪失への心構えをすべきだと感じた。

なぜなら現在、多くの家庭は、必要な現金をATM(現金自動預払機)から小出ししたり、各種カードで決済している。電気が止まると金融機関はマヒし、緊急に必要な資金が入手できず、大きな混乱が起きかねない。デジタル万能社会の弱さ、もろさだ。

逆に、東日本大震災で、アナログの強さを知らされたのが、写真である。がれきの間から掘り出された記念写真を洗って、持ち主の元に戻されたという報道が相次いだ。写真の映像は、経済活動に直結するものではないが、個人的にも社会的にも、記録媒体として重い役割を果たしている。

日本カラーラボ協会の推定によると、携帯電話を除いて、1年間に約280億ショットの撮影が行われているという。1人が1週間に4回から5回、シャッターを押す計算になる。

ところが、その映像がプリントされるのは約23%で、残りはUSBメモリーやディスクに保存されたままだ。プリントすればかさばるが、機器にしまっておけばいつでも見られる、がデジタル的思考である。だが万一の場合には、機器もろとも画像が消え失せる。Aさんはそれを指摘する。

宗教界でも、教団や信徒に関する記録がデジタル化されている。しかし大災害の場合には、手書きの檀信徒名簿や過去帳が役立つ場合もあるのではないだろうか。