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宗教法人法について より自覚的な論議を

2012年2月14日付 中外日報(社説)

全日本仏教会の戸松義晴事務総長が7日に京都で開かれた会合で「行政庁は包括法人としての社会的責任を果たすことを望んでいる」と述べ、宗教法人法に基づく備付け書類の所轄庁提出を各寺院に促す積極的な対応を提言した。

書類提出を義務付けた平成7年の宗教法人法改定では、政教分離・信教の自由に関わる真剣な議論が交わされ、例えば京都仏教会と京都府仏連は、違憲立法抗議と法令順守ではっきり強調点が分かれた。所轄庁に法改定批判の意思表示をし、提出を拒否し続けている宗教法人は今もある。ただ、会社法改正に伴う関連法規整備で、宗教法人法違反の罰則上限が過料1万円から10万円に引き上げられ、違憲立法抗議の提出拒否の動きは力を失った。代表役員個人が上限10万円の過料を長期間払い続けるのは負担が大き過ぎる。現在、こうした信念に基づく提出拒否の絶対数が多いとは考えにくい。

ではなぜ、毎年多数の書類未提出法人が出るのか。宗教法人側の法令違反がまず論じられるべきだが、所轄庁の責任も大きい。各都道府県が改定宗教法人法や文化庁の通知基準に従わず、独自の裁量で問題を処理してきたからだ。

本紙がかつて実施した過料件数の調査では宗教法人法第25条違反の罰則(行政罰の過料)手続きを全く行っていない行政庁の存在が明らかになっている。違憲抗議で提出を拒否して毎年過料を払い続ける法人がある一方で、書類提出を怠りながら罰則が適用されない法人が存在するという不公平を、文化庁をはじめ行政は放置してきた。行政庁が宗教法人法の諸規定に沿って対応していれば、改定法施行後15年を経て、毎年これほど多くの法人が第25条違反に該当するという事態はあり得ない。

ところで、戸松事務総長の提言に関連して、全日仏に一つ要望しておきたい。

上記会合の席上で長谷川正浩全日仏顧問弁護士も指摘したが、改定宗教法人法自体には憲法上の議論以外に、幾つかの問題があることが知られている。平成12年に本紙が包括宗教法人を対象に実施したアンケート調査では、回答した38教団の約半数が改定内容に「問題あり」とした。全日仏として行政庁の要望に応えるのならば、この機会に改定宗教法人法を宗教者の立場で考え、議論する場を設けてはどうだろうか。

宗教法人法とその本来の精神を守るのは行政庁だけの責任ではない。宗教法人の側も自覚的・主体的に取り組む必要がある。そのためにもぜひ検討してほしい。