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「役人天国」の実態が問われる年になるか

2012年1月12日付 中外日報(社説)

「関西は地下鉄の運賃が高いですね」。東京から訪れた人の多くが語る言葉だ。なるほど、東京メトロの初乗り運賃は160円、都営地下鉄は170円なのに、大阪市営地下鉄は200円、京都は210円。2割以上高い。

もっとも、他の大都市の地下鉄も、初乗り運賃200円という所が多く、大阪・京都が特に高いとは言えない。しかしビジネスマンは大阪へ、観光目的の人は京都へ足を運ぶ人が圧倒的に多いから、両市の地下鉄運賃がことさらに注目されるのだろう。筆者の友人の一人は「高い運賃を払わされて、関西の人はよく黙っていますね」とまで語った。

だが黙っている人ばかりではない。「大阪の地下鉄は高い」との声が上がった。声の主はなんと、大阪市長に当選したばかりの橋下徹氏だ。「大阪(梅田)から天王寺まで、JR環状線なら190円だが、地下鉄は270円だ。4割以上も高い」と指摘した。

新線を建設し、新しい車両を導入すれば経費がかさむ。足りない分は運賃を値上げすればよい。それが多くの都市の財政学だった。「市議会の同意」という民意に支えられていた。運賃を決める人の多くは公用車族で、市民感情に疎いのかもしれない。

意外なことに、財界人の方が市民感情を理解していた。ある関西財界団体の指導者が言った。「大阪市は、ユーロ圏で破綻状態のギリシャに似ている。共通点は役人天国ということだ」と。

橋下市長に促されて大阪市交通局が発表した、地下鉄関係従業員の平均年収は734万円で、関西の私鉄5社より1割以上も高いという。市長はさっそく賃金切り下げに取り組むことを指示、並行して交通局は運賃値下げの具体案検討を始めた。

橋下氏の政治手法には批判の声もあるが、地下鉄改革はヒットと言えるだろう。橋下氏が率いる新勢力「維新」はローカルの存在だが、中央政界の一部がすり寄る姿勢を示している。政界・官界の常識が問われ始めた。この動きが、より大規模な役人天国の打破につながるかもしれない。

先に紹介した東京の友人は、社寺歴訪の後でこう言った。「関西で感じるもう一つの当惑は、京都市内のタクシー料金がまちまちなことです。640円タクシーに乗った後で570円の車に乗ると、損をしたような思いがする。ぜひ統一してほしい」。業者それぞれの事情はあるだろうが、利用者の思いを大切にしたい。神仏はどうみそなわすだろうか。