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NPOの手作りで地蔵尊巡拝マップ

2011年10月27日付 中外日報(社説)

京都市民の手作りで生まれた案内地図がある。その地図「京のお地蔵さんめぐり・寺町通界わいMAP」を手にして、地蔵菩薩尊を巡拝する人々を見掛けるようになった。京都を南北に貫く寺町通の上京・中京・下京区の25カ寺を中心に紹介したものだ。

製作したのはNPO京都観光文化を考える会・都草(坂本孝志理事長)で、会員は約300人。京都商工会議所が京都の故事来歴などの知識をテーマに実施している「京都検定」1級に合格した人々を中心に平成19年、結成された。「私たちの知識を社会的に有意義に活用したい」との願いからで、熟年のメンバーが多い。

最初は、京都に伝わる"不思議な存在"の研究に取り組んだ。不思議とされるものの根源は仏教にあり、わけても地蔵尊にまつわる霊験譚が中心となっていることに気付いた。

京都は古来、六地蔵巡りや洛陽四十八願地蔵巡りなど、地蔵尊巡拝が盛んだった。また辻々には地蔵堂が祀られ、毎年8月23~24日の縁日には、町内ごとに地蔵盆が営まれてきた。一説には、市内の地蔵尊は5千体に及ぶとも伝えられた。

しかし、少子化のため子供を中心とする地蔵盆が廃れたり、マンション建設で地蔵尊が行方不明になる例もある。今きっちりと調査しておかないと、地域と地蔵信仰を結ぶ歴史が消えるのではないか、とも感じられた。

都草の会員たちは、寺院や町内会の了承を得て、まず寺町とその周辺の地蔵尊を探索した。寺町は豊臣秀吉が京都の街区を整備した時に寺院を集めた通りで、由緒深い寺院が多い。像の由来や形式などを詳しく調べ、データベース化した。友禅染職人の傍ら、長年にわたり地蔵研究をしてきた山本喜康さんが図像化して、美しい折り畳みイラストマップにまとめた。「全てが手作りです」と前理事で調査員の一人、吉見誠一郎さんは胸を張る。

調査中に、民間信仰の象徴とされていたある地蔵尊が姿を消しており、尋ね尋ねて、近くの寺院に預けられていると分かった。「町の地蔵さんは町にあってこそ住民に親しまれるのに」と吉見さん。その一方では、ビル建設で消えた町内会が毎月1回、ビルの前に組み立て式地蔵堂をしつらえて礼拝する例もあるという。

今回のマップは、浄土宗の「共生・地域文化大賞」の企画助成金を受けて5千部が作製された。意義深い活動だ。都草の電話番号は075(451)8146。