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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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電力の地産地消を 身の周りからの変革

2011年9月24日付 中外日報(社説)

「電力不足」が叫ばれた猛暑が去った。電力制限令は前倒しで解除され、関西では電力会社が毎日出す「需給予想」が8月のピーク期でも「赤信号」にならないなど、大きなトラブルはなかった。震災直後の東電の「計画停電」もそうだったが、消費者の節電努力があったとはいえ、「原発の必要性PRのためでは」という疑いが自治体首長からも指摘された。

福島原発の事故で、大都市部への供給のために地方が負担を強いられるいびつさが問題になり、電力の「地産地消」が注目されるようになったのは結構なことだ。

長距離を送電すると発電から消費までに60%ものロスが出るという。だから地元で太陽光や風力などの再生可能エネルギーによって発電し、需給データをやりとりしながら配電を高度技術で制御するスマートグリッドを導入する。

これは、末端の各家庭の消費需要までが制御対象になれば過剰な情報管理の危険性があることに十分配慮が必要だが、エネルギー安定供給が国民生活の基本要件であるなら、ひとたびトラブルが起きれば当事者能力を失うような営利企業の地域独占ではなく、国として新たな制度をつくることが求められるだろう。

業界は、電気事業連合会がウェブサイトで電力自由化に関し「電力会社もサービス向上に努めています」と訴えるなど警戒感を見せている。だが例えば沖縄県大宜味村では、山に風力発電設備2基を建設し、一般家庭2200世帯の年間使用量相当の800万キロワット時を供給する計画を進めている。同村は約1500世帯なので、家庭分は「自給自足」となるわけだ。

他にも、各地で風力や潮力、水力発電が次々と試みられており、寺院などでもソーラー発電が普及してきた。確かに課題も多い。急流河川での小水力発電は高コストだし、比較的割安で安定的な大規模風車は、騒音や貴重な鳥類の衝突被害(バードストライク)など環境問題も言われる。

だが従来、新規電源開発研究への助成金の大部分が原発に長年つぎ込まれてきたことを考えると、技術問題は克服可能だろう。

「地元学」の概念では「人と自然」と共に地域を元気にする「経済」は、決して「貨幣経済」だけではなく「自給自足の私的経済」「結いの共同経済」とのバランスが重要と説く。この学の原点は、水俣病問題で「世間が変わらないなら水俣が、自分が変わる」と言った住民の心。まさしく仏教的だ。宗教者が率先して地元から社会を変えてはどうだろうか。