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苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
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包括・被包括関係と教団内の伝統的関係

2011年6月23日付 中外日報(社説)

教団の本部と地方拠点などの関係は、仏教でいえば「本末関係」であるが、今では「末」という表現は一部で控える動きがある。その一方で、比較的よく用いられるようになってきたのが、包括・被包括関係という言い方だ。東日本大震災では、包括法人として被災した被包括法人のため何ができるか、という問いの立て方もなされているようである。

包括・被包括の関係を考えるとき、当然、念頭にあるのは宗教法人法の規定だろう。宗教法人法の包括・被包括の二分法はそもそも、歴史的に形成されてきたさまざまな宗教団体の本部・地方組織関係のいわば最大公約数として設定されたものである。少なくとも、国法が先にあって、それぞれ異なる教団の形態を一つの鋳型に当てはめようとするものではない。

しかし、宗教法人法のもとでの包括・被包括関係という発想に慣れると、教団内の関係にも影響が及ぶことになる。伝統的な仏法上のつながりとは別に、世俗法的な契約関係で考える傾きが多少強まるのは避け難い。

大震災の被災宗教施設支援などは、ドライな契約関係ではなく、はるかに深い根で支えられているわけだが、例えば被包括関係の廃止に関わる問題では、歴史的に本山等との間で形成されてきた関係ではなく、宗教法人法の規定に沿った手続きだけが法廷で争われる。この結果、宗法の懲戒規定の適用が不可能になり、教団の自治に支障を及ぼしているケースもあることは周知の通りである。

宗教法人法の規定そのものが日本の宗教の実体に即しているか、再検討する余地があるということになるだろう。

もう一つ、宗教団体と宗教法人の関係で注意しておきたいのは、宗教団体イコール宗教法人の発想にとらわれることの問題である。『宗教年鑑』を見れば、宗教法人でない宗教団体が少なくないことが分かる。例えば、同書平成19年版によると、日本基督教団の教会・布教所1733のうち、宗教法人は1371にとどまる。

不活動法人問題では、教団側に法人の解散、合併への抵抗感が多少みられる。歴史ある寺などを解消してしまうイメージなのだろうが、しかし、法人を吸収合併させても、必要があれば教団内でその名義を残すことはできる。合併先の法人で仏・神像などを護持し、祭祀を継承すればいいのである。

宗教団体と法人格について、場合によっては少し視座を変えて考えてみることも必要だろう。