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自然界の大変動と"生命"の強靱な力

2011年6月4日付 中外日報(社説)

「動かざること大地のごとし」というけれども、実は大地が大揺れに揺れることをわれわれは最近改めて実感した。それどころか、かつて地球上で海と陸が分かれたとき世界の大地は一つの大陸であったという。大地(パンゲア)は割れたり分かれたり、またつながったりして、現在の五大陸ができた。

さらにいえば、そもそも130数億年前にいわゆるビッグバンがあってから、宇宙に物質が生まれ(暗黒物質という正体不明のものも生じたようだが)、星と銀河が生成した。恒星が誕生と消滅を繰り返すたびに重い物質が作られ、大量の水素や重元素がもとになって、約46億年前にわれわれの銀河の中に太陽系が形成された。その中で地球は生命誕生のために好条件を備えていて、40億年ほど前に生命が誕生し、進化を続けて今に至ったのだという。

生命の歴史も決して平坦ではなかった。地球全体が氷に覆われたこともあり、6500万年前には大隕石が地球に衝突して、その直後の結果と、世界中を覆った噴煙がもたらした地球寒冷化とで、多くの生物が絶滅した。地球の歴史にはこのような生物の大絶滅が数回起こった。噴火、地震、津波、暴風、洪水、旱魃などが繰り返されたのは言うまでもない。

現在世界中で繁栄している生命体は全てこれらの危機をくぐり抜け困難に耐えてきたわずかな生命の末裔である。1匹のハエ、1本の雑草といえどもそうで、全て背後に40億年連綿と続いた生命の歴史を負っているわけだ。もし大隕石の衝突がなかったら恐竜の繁栄が続いて哺乳類の世界は来なかったであろう。もしわれわれの直接の先祖である哺乳類の1匹が恐竜に捕食されていたら、あるいはアフリカのサバンナで現生人類の祖先の1人が豹か何かの餌食になっていたら、そもそもホモサピエンスなる生物が現れることもなかったのかもしれない。

広大な宇宙のどこにでもあるとは考えられない、宇宙の始めから人類の現在に至る、進化の一筋の線に、われわれは改めて神秘を見る。宇宙の歴史を知らなかった過去の人間も、太陽と星、大地と生命に無限に神秘を感じていた。恵み深い自然にも起こる大災害は改めて生命が乗り越えてきた苦難の歴史を思い起こさせる。

個々の生物は弱いが生命は桁違いに強靱である。人間だけではない。試練を乗り越えてここまでたどり着いた生命の全てを尊び慈しみ大切にしようと思わずにはいられない。