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系列会社含めて客にスマイルを

2010年5月27日付 中外日報(社説)

"鉄ちゃん"や"鉄子さん"の愛読書を読むと、欧米の鉄道では、十分や二十分の延着は"遅れ"のうちに入らないそうだ。日本の鉄道では五分でも遅れると駅でも車内でも「御迷惑をおかけいたします」のアナウンスが流れるのに……と思っていたら、空のダイヤの正確さでも日本はハイレベルにあるらしい。

米国のある調査会社が国際線を運航している世界の主要航空会社四十社について「定時到着率」を調べたところ、日本航空(日航)が一位、全日本空輸(全日空)が二位だった。「定時到着」とは、遅れ幅が十五分を超えないことをいい、日航の定時到着率は九〇・九五%、全日空は九〇・三七%だから、同率首位といってもよい。

雪で滑走路が閉ざされたり、火山の爆発で噴煙が立ち上ったりしない限り、出迎えの人々は定時に空港へ行けばよいわけだ。この調査報告は四月中旬の新聞に報じられていた。

しかし、こと経営となると、日本の翼は旗色が悪くなる。日航は事実上の破産状態だというし、全日空も赤字を計上している。空のバランスシートは、どうなっているのか。

筆者は先ごろ、北海道へ旅行した。どちらかといえば辺境と呼ばれがちな地方で、往復の一方は日航、もう一方は全日空だけが就航している空港だった。どちらがどの航空会社だったかは、あえて記さない。

往路は夕刻の到着だったので、バスですぐに航空会社の系列ホテルに入った。例によって客室には、アンケート用紙が置いてある。満足度を五段階評価で記入するものだ。

ところがその設問は、電話予約の際の応答やフロントの応対ぶりなど、従業員の接客態度を問う、ソフトウエア面のものが大部分である。ホテルマン教育を受けた従業員は、よほどのことがない限り、客に不快感を与えるはずがない。評価は高得点だ。

筆者が以前に、本州の同系列ホテルに泊まった時に比べて、ドアがカードキー方式になっていないこと、ベッドの下にフットランプのないことなど、ハードウエアへの注文も書きたかったが、それらの項目はなかった。

ホテルの社長や支配人が「アンケートでは好感度が高いのに、宿泊客が増えないのはなぜだろう」と首をかしげる事態にならなければ幸いだ、と思った。

さて、帰途である。航空会社からは、搭乗する空港には系列の売店があるので利用してほしいと、五%引きのお買物優待券を渡されていた。空港で北海道土産が買えるなら便利だ。街では何も買わずに空港行きバスに乗った。

だが空港ビルへ入ると、航空会社の系列売店にはシャッターが下りている。発着便数が少なく、利用度が低いので、一年前に閉店したとのことだった。代わりに地元の商店が、形ばかりの店を出しているが、品数は乏しい。北海道土産はあきらめ、乗り継ぎの羽田空港でほかの品物を買うことにした。

それにしても、一年前に系列店が閉店したことを、航空会社の関西支店が知らなかったのはなぜだろう、と疑問が残った。組織が肥大化すると、小回りが利きにくくなるのか。

ホテルも売店も、別会社だから、航空会社に直接責任はない。しかし利用する側にとっては、一体のサービスである。国内では新幹線が北へ、南へと延び、海外では外国の会社との競争が激しくなる。CA――客室乗務員さんのスマイルも大切だが、系列会社を含む会社ぐるみのスマイルの大切さも忘れないでほしいと願う。重箱のスミをつついて申し訳ないが……。

組織が大きくなると血の通わない部分が生じるのは宗教も同じである。例えば外国の有名教団のトップが聖職者の"ある問題"のため、行く先々で頭を下げ通しというではないか。