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"お天道さま"の黒点にも注目を

2010年5月22日付 中外日報(社説)

「CO2の排出を抑えないと、地球の温暖化が進んで、太平洋の島々は水没してしまう」が常識となっている。だが、今年の三月から五月にかけて襲来した寒さはどうだったのか。「地球はむしろ、寒冷化の方向に向かっていると主張する学者もたくさんいます」と元ジャーナリストのAさんは言う。「人類にとって、温暖化より寒冷化の方がずっと怖いですよ」

首都圏在住のAさんは、間もなく満八十歳。理科系の大学を卒業して、主に映像関係のジャーナリズムで活躍した。仕事を始めた昭和三十年代に、水俣病の原因について、有機水銀かどうかで学界の意見が二つに割れたことを、今も鮮やかに記憶している。

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)報告に代表される温暖化憂慮説の前に、地球の寒冷化を予想する学者の意見は、極めて旗色が悪い。しかしAさんは「あと数年、気候観測のデータを積み重ねないと、どちらが正しいか決められないのではないか」と主張する。

IPCCが「気候システムの温暖化は疑う余地がない」との報告書を出したにもかかわらず、MSN産経ニュースや日本経済新聞の報道では、地球の平均気温は一九九八年をピークに、その後の十年間は横ばい、もしくは下降気味という。そして今年は、四月の東京に雪が積もり、五月の大阪に霜注意報が出た。

テレビに出た気象予報士は「北半球の上空に寒気があるからです」と言う。しかし、なぜ春に寒気が居坐っていたかについては、説明してくれない。

IPCCの「CO2増加のために温暖化」説は、英イーストアングリア大学の研究が根拠の一つとされてきた。ところが昨年秋、同大学のコンピューターにハッカーが侵入したため、同大学で観測データの一部が捏造(ねつぞう)されていたとの疑いが暴露された。だが、日本の主要マスコミはこの問題に触れたがらない、とAさんは言う。

「寒冷化現象が現われたのは、太陽の黒点の減少と無縁ではないと思います」がAさんの意見である。ガリレオ・ガリレイ(一五六四-一六四二)が観測を始めて以来、太陽の黒点はほぼ十一年周期で増減することが分かっている。黒点の多い時、太陽の活動は活発になる。

この周期説に従うと、太陽の活動は二〇〇七年に最低となるが、二〇〇八年から急上昇し、二〇一一年ごろ最盛期になる、つまり黒点も増える、が学界の"常識"だった。

ところが現実には、二〇〇八年には黒点が増え始めるどころかゼロとなり、二〇〇九年も黒点ゼロの日が続いた。二〇一〇年の今年は、やや持ち直す傾向が見られたが、四月、五月に入ってから再び"ゼロ続き傾向"が現われた。

米国の航空宇宙局(NASA)やベルギーの「太陽黒点数データセンター」の調べでは、太陽は今、百年に一度の"活動低水準"の時期に入っている。

「日本では三月から四月にかけて、野菜類が品薄になった。和歌山の梅が大打撃だ、柿も不作だろうとも伝えられる。地球はこれまで、氷期と間氷期を繰り返してきたが、寒い氷期の方が長続きするものです」とAさん。

「日本人には『何事もお天道(てんと)さま次第』という思想があった。ガリレオ以前の欧州では宗教が科学だったが、近代以後は科学が宗教を超えてしまった。だが科学では解明できないものがある。なぜ地球に氷期と間氷期が起こるかの問題もその一つ。日本の"お天道さま"思想に立ち返り、謙虚な態度で自然と向き合うべきではないか。これが過去の取材経験から得た私の哲学です」

CO2の排出量が政治の議題となり、あるいは取引の対象とされる今、専門の学者ではないAさんの意見を、あえて紹介した。