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職員がほとんど出さないはがき

2009年11月17日付 中外日報(社説)

Pという雑誌に、女性作家のAさんが、毎号ユニークなエッセーを連載している。本来なら固有名詞を出すべきだが、あえて伏せることにする。先日発売された誌面には、要旨次のような話題が出ていた。

「三十代の男性Bから、頼みごとをされた。一流企業のエリート社員である。私はその頼まれた内容にふさわしいCさんを引き合わせた。引き合わせの場には私も同席した」

BさんとCさんの間で、問題は順調に進展したらしい。だがBさんからは、何の報告もなかった。あさんは、三十代にもなったBさんの、社会常識のなさにあきれ果てた。こんな時は直接Aさんを訪問して知らせるか、少なくとも感謝の手紙を書くのが礼儀というものではないか――。

ところが「Aさんにだって行き届かぬ点があるのでは」との声もある。以前、Aさんは地方の女性作家Dさんの手引きで、Dさんの母校のQ女子高校をモデルに作品を書き、出世作の一つになった。

作中、学校名はR女子高とされていた。架空の校名のつもりだったのに、その地方には、Rという女子高が存在し、しかもQ、R両校には偏差値に多少の差があった。Q校の同窓生らは「わが母校をR校と混同するなんて」といきり立ち、Aさんに抗議文を送った。しかしAさんはクレームを黙殺したらしい。その間の行き違いが、今も一部同窓生の間にくすぶっているそうだ。

Q校同窓生の名門意識にも問題があるけれど、Aさんも校名確認が充分でなかった。遺憾の意を表わす一筆があってもよくはなかったか。

女性作家といえばこのほど、曽野綾子さんが郵便事業などの元締の日本郵政株式会社の社外取締役に起用された。そして就任早々、曽野さんは「日本郵政の組織のたるみ」を指摘するエッセーを、産経新聞のコラム欄に寄稿した。

亀井静香・金融郵政担当相から就任を依頼され、十月二十八日の臨時株主総会で正式に決定した。しかしそれ以後約一週間、辞令ももらわなければ、郵便事業についての初歩的な説明も全く受けていない、と記している。

「14年前、日本財団の無給の会長に就任した時は、連日あらゆる部門と関連財団の業務内容の説明が行われて、私は疲れ果てた」ほどなのに、今回はその気配が全くない。

パンフレット一つ手渡されていないから「従業員は25万人といえばいいのか、人件費・広告費は全予算の何%なのか、何一つ資料はない。多分インターネットで見ろということなのだろう。しかし業務内容の説明なしに、社外取締役に何を考えさせようというのか」と手厳しい。

まさか日本郵政は、社外取締役を一部の天下り官僚と同一視しているのではないだろうが……。

日本郵政側が何も言わないなら、代わって本欄から"公案"を提示しよう。このところ郵便局の窓口では「お年玉年賀はがきは、もう買われましたか」と声が掛かる。普通のはがきや切手とは違って、お年玉年賀はがき、かもめ~るなどの"季節商品"や、記念切手の売り込みに熱心だ。こうした商品をたくさん売るとその局の"実績"になるのだろうか。

ある局の職員に「あなたはこの夏、かもめ~るを何通出した?」と聞いたら、ほとんどが二通か三通で、ゼロという職員もいた。職員が利用する気のないはがきを売り出しても、郵便事業が伸びるはずはない。曽野さんはまず、ケータイメール慣れした日本郵便の職員に、手書きの一筆の温かさを知らせ、素晴らしいはがき文を書くコツの伝授をしてはいかが。曽野さんの"見解"を聞きたい。

それにしても、Aさんや曽野さんの書く文章の切れ味は鮮やかだ。本欄も学ばせていただこう。