ニュース画像
多くの人が見守る中、彰義隊墓所で盛大に営まれた150回忌法要
主な連載 過去の連載 エンディングへの備え
苦縁―東日本大震災 寄り添う宗教者たち
購読のお申し込み
新規購読キャンペーン
紙面保存版

WBCの熱戦の後に残る課題は

2009年4月2日付 中外日報(社説)

暗いニュースがあふれる中、久しぶりの明るい話題に国民の多くが拍手を送った。第二回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)である。日本が連覇を決めた対韓国との優勝決定戦、息詰まる展開だっただけに延長十回のイチローの決勝打には鳥肌が立った。

大会期間中を通して日韓両国でテレビ中継の視聴率が三〇%以上、瞬間的には五〇%近くにもなったというから、熱狂的と言ってもいい関心度だった。日本が戦った九試合のうち五試合が韓国戦という組み合わせの偏りに疑問はあるが、日韓による優勝決定戦で両国の野球レベルの高さを逆に証明することができた。スポーツを通した交流という面でも、むしろいい結果を生んだのではないか。個々には、日本に勝った韓国チームがマウンドに国旗を立てるといった場面はあったものの、全体的には互いの力を認め合った戦いであり、応援であったように思う。

「韓国は尊敬に値するチーム」と原辰徳監督が話していたように、良きライバル同士として将来に向け実力を「高め合う」努力を重ね、両国の相互理解にも資するよう望みたい。

とはいえ、これを弾みにとんとんと友好が深まるほど甘くはないだろう。両国間に刺さった、歴史認識にかかわる数々のトゲは未解決のまま残っている。

最近の世論調査報道によると、日本人の過半数が韓国に親しみを持っているのとは対象的に、日本に親しみを感じない韓国人が六二%に上るという。テレビの多チャンネル時代で、筆者の家族は毎日のようにどこかのチャンネルで韓国ドラマを視聴している。字幕入りが多いが、それでも出演者ばかりがバカ騒ぎする日本の民放各局のバラエティー番組よりは内容があって面白いという。

一方、韓国のテレビ事情には詳しくないが、金大中政権以来の日本の大衆文化開放政策で、例えば日本のアニメが韓国仕様に変えられず、そのまま放映されることも増えていると聞く。発足一年を過ぎた李明博(イ・ミョンバク)政権も日韓の国際協調重視路線だ。にもかかわらず、上記の調査は歴史問題が依然として両国関係に影を落としていることをうかがわせる。

この調査では両国の若い層でお互いに親近感を強めていることに希望は持てるというが、竹島(韓国名・独島)や慰安婦、朝鮮人強制連行問題など両国間にわだかまる数々の懸案を抱えて、両国の国民感情のわずかなすれ違いが対立の再燃を招く懸念も消えない。いずれの問題も、その核心部分に日本の「過去の清算」の不徹底さがあると認めざるを得ないのである。

少し前に話題を呼んだ世宗大学日本文学科・朴裕河(パク・ユハ)教授の名著『和解のために』(平凡社刊)は「被害者の側の許しと寛容、加害者の反省と慎みから和解は始まる」と、未来志向で双方の歩み寄りを訴えた。しかし、より多くの努力と責任は加害者側の日本が負わなければなるまい。近隣国と民衆レベルでの和解がなければ、本当の平和が招来できないのは自明のことだ。

しかし、日本の一部では元空幕長による「田母神論文」を称揚する言説が、その後も絶えることがない。加害者としての「反省と慎み」が必ずしも国民的合意になっていないことの証左に見える。

思えば一九一〇年、日本が当時の大韓帝国を併合、朝鮮半島の植民地支配を始めた「韓国併合」から来年はちょうど百年になる。その節目にどう向き合うべきなのか。日本人の歴史認識の根幹があらためて問われるようにも思われる。同じ旧植民地でありながら、拉致と「人工衛星」でますます溝を深め、国交正常化など程遠い北朝鮮とのかかわり方も併せて英知を結集しないといけない時期に来ている。

野球でエールを交わすだけでは足りない。一衣帯水の海を越え、相互交流に重要な歴史を刻んできた仏教界も含めて幅広い取り組みが求められる。