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増える外国人と日本宗教の課題

2009年1月1日付 中外日報(社説)

日本人の人口のうち、六十五歳以上が占める割合は、すでに平成十七年の国勢調査で二割を超えた。少子化の傾向も続いているので、長期的に見ると外国人の労働力に依存する割合は増えると予想される。今回の世界的な大不況によって日本の会社等も雇用が不安定になり、母国に帰る外国人もいるようだ。それでも、十年、二十年というスパンで考えるなら、日本における外国人の比率が増えるのは間違いないだろう。

平成十八年における外国人登録者数は、全体で二百万人を超える。そのうち韓国・朝鮮、中国で過半数を占めるが、カトリック圏である南米が四十万人近く、またフィリピンが二十万人近くになる。インドネシア、マレーシアなど東南アジアのイスラーム圏からも数万人である。

こうした現状を反映して、日本のカトリック教会に外国人信者が占める割合は、一般の人が予想する以上に増えている。日本カトリック難民移住移動者委員会が発表したデータによると、十七年の時点で、日本人信徒が約四十五万人であるのに対し、外国人信徒は約五十三万人に上る。外国人の占める割合は五四%であり、最も多い名古屋教区では、なんと八一%に上る。

ムスリムが礼拝に集まるモスク(マスジド)も、日本各地に増える一方である。モスクというとドーム型の立派な建物を連想しがちだが、簡易な建物でもモスクとして使用することは可能であり、実際日本ではそのようなモスクが大多数を占めている。平成二年には日本に三ヵ所であったが、十八年十二月には五十五ヵ所になった。

カトリックは世界宗教であり、信者がどの国に行こうと、そこにカトリック教会があれば、定期的に礼拝に参加することが可能になる。日本でも英語やポルトガル語で礼拝を行なう教会が出ている。グローバル化が進行しても、それなりの対応の手段があるということである。またイスラームの場合は、信者たちが自主的に基金を集め、モスクを建てるというやり方がある。これもグローバル化に対応する術を内包しているといえる。

では日本の宗教はどうであろうか。自分の宗派、教団の信者が国外に住んでいる時の対応はどうなのか。また外国人が増えた時、それにどう対応しようとしているのか。国外に住む日本人信者への対処がある程度なされているのは、ごく一部の教団規模の大きい宗教に限られている。伝統的な仏教宗派の多くには、そうした発想自体がたぶんまだない。

国内に増える外国人に対してはどうであろうか。カトリックは一応すでに信者である人に対しては対応しているが、しかし日本人信者と外国人信者との関係は、必ずしも円滑ではない例が見受けられる。日本人にまだまだ根強く見受けられる外国人への心理的な障壁が、カトリックにおいても消えていないということである。

他方、外国人の中には信仰を持たないけれども、日本での生活にさまざまな不安を抱いている人がいる。そのような人に対して、宗教とはかかわりなく宗教団体が何らかの形で手を差し伸べることは可能なはずである。週に一回、あるいは月に一回でも集まってそこで日本人とコミュニケーションする場を設けることは、それほど難しいことではない。それをどのような目的とやり方で行なうかは、まだ適切なモデルが見受けられない。これからの課題ということになる。

ただ、この試みを宗教団体が推進する上では、留意することも多いのではないか。自分の信仰に誘おうとする気持が働いたなら、あまりいい結果を生まないかもしれない。しかし、それぞれの宗教団体が持つ特色をすべて消し去るのは難しそうである。

留意点は多いだろうが、増加する外国人に対してどういう姿勢を取るか、日本宗教もそろそろ考えるべき時期に来ている。すでに民間では、NPO法人をはじめ、多くの具体的試みがスタートしている。

多様な価値観が共存する時代に、人と人はどのようにつながり、コミュニケーションできるのか。新たな年を迎え、宗教団体もこれを一つの課題として考えてはどうだろうか。