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実態調査を拒む組織の"異常さ"

2008年7月5日付 中外日報(社説)

このところ、家庭用ファクス受信機が、すぐに"用紙切れ"になる。友人から「送信しても届かない」と苦情が寄せられる。どうやら"犯人"は、地元選出の国会議員A氏の後援会らしい。A氏の活躍ぶりを、朝に晩に知らせてくる。もとはビラを戸別配布していたが、それでは手間暇かかるので、ファクスに切り替えたようだ。

送信の内容は「年金問題の委員会審議で、Aは政府の責任を厳しく追及しました」の報告が多いが、時には「何日何時からの○○テレビ特別番組で、老人医療問題について討論します」のような予告もある。A氏の働きぶりは多とするが、これでは用紙がいくらあっても足りない。

さすがに誰かが抗議したのだろう。ある日の送信文の最後には「ファクスを希望されない方は、次の電話番号までお知らせください」と記されていた。何事も度が過ぎると"ありがた迷惑"だ。国会報告も例外ではない。

そのA議員の先輩格に、Bという議員がいる。A氏ともども、福祉問題に熱心に取り組み、ある雑誌によると"十年後の首相候補"の一人だそうだ。いろいろな方面に情報網があるらしく、最近では「居酒屋タクシー」の摘発で反響を呼んだ。深夜勤務を終えた中央省庁の官僚が帰宅の際、タクシーの運転手から缶ビールの接待を受けていた、というものだ。さらには、商品券や現金を受け取った者もいた。

役所の前に並んで客待ちをしていた車に順番に乗るのでなく、なじみの特定の運転手と示し合わせ、少し離れた場所から乗車し、車中で缶ビールの接待を受ける。おつまみも出る。やがては現金の授受も。恐らくチケットに記す料金は、水増しの金額が書かれているだろう。これでは税金の一部が官僚のフトコロに入ったことになる。せこいというべきか、浅ましいというべきか。

産経新聞によると、内部告発を受けたB議員は、最初は「まさか」と思ったそうだ。各省庁に実態報告を求めたところ「ビール接待を認めた省庁はあったが、財務省は最初、ビール接待すらないと答えた=要旨」という。実際には、財務省の"汚染度"が突出していたのに。

「霞が関の官僚の隠蔽体質はひどい。不都合なことは、ろくに調べもせず『ない』という。動かぬ証拠をつきつけると、渋々調査して、いやいや公表する=要旨」とB議員は言う。読売新聞などによると、これまで分かっただけで千四百余人が延べ一万回以上も、金品を受け取っていた。

財務省と並んで深夜タクシーの利用度が高い国土交通省は、二ヵ月にわたり、試験的にタクシー券の使用を禁止することにした。六月三日付本欄で一部指摘したが、官僚の中には遅くまで盛り場で飲食し、ホステスを送り届けた後に帰宅する例もあったと、テレビ局が指摘していた。冬柴鉄三国交相は「問題は仕事のやり方にある。深夜一時、二時まで仕事をするのは異常」と語った。今までの大臣は、その異常さに気付いていなかったのか。

これは役所ではないが、NHKの職員が取材や報道で知り得た情報をもとに株式のインサイダー取引をして利益を得ていたことが明るみに出た。勤務時間中に株の売買をしていた者もいた。「職員の株取引問題に関する第三者委員会」が組織され、調査に乗り出したが、調査を事実上拒否した職員が九百四十三人に上ったという。毎日新聞によると「任意調査の限界を超えている」「プライバシー侵害だ」を理由に挙げているそうだ。この種の調査拒否がまかり通るとは、NHKはどんな体質なのだろうか。霞が関は"渋々"ながらでも調査に応じているというのに。各党の議員が、NHKの内部を浄玻璃の鏡で照射することを期待しようか。