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  時感断想 − 第54回

 1、    一天地を拝む        「変わる」のでなく「正す」


石川洋

1、一天地を拝む
「変わる」のでなく「正す」

2、物心不二の生活
捧げる心はいつも豊か

3、「拝育」のすすめ
親が変われば子も変わる

4、いのちの輝き
ソマリア沖荒らす大国





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   昨年来、アメリカを震源とするサブプライムローン問題に端を発した経済危機が全世界に大きな打撃を与えている。
   百年に一度の不況とも言われているが、その実情は示されていない。強いて言えば第一次世界大戦後の大不況を指すのであろうが、時代的には意味は符合しない。むしろ実体の伴わない高度成長、欲望追求の破綻であると言うべきであろう。
   大衆の熱狂的な支持を得て歴史上の転換をなしとげたオバマ新大統領は「チェンジ」のスローガンを前面に打ち出した。しかし問題の核心に「何を変える」のかが明確に見えてこない。
   キリスト教国家の精神のよりどころに立つならば、「どうして、そこまでおちたのか」(旧約聖書)が教示しているように、その原因を明らかにしなければ変わることはできないのではなかろうか。
   自立経済を軽視して消費経済をあおる経済効果は、デフレからインフレにおちいる恐れがあるのではなかろうかと、直感的に破れを感ぜずにはいられない。
   同時代を生きる一人の人間として、経済の深部は分からなくても、経済のつぎ合わせでなく、人間の生き方に還るべきではなかろうかと思わされてならない。言うならば「変わる」のでなく「正す」原点に立つことであろうと心を新たにしている。
   最近、夕方の終着駅の近くなった電車の中で、一人の老人が座席に忘れられている新聞やビールの空きカンを、よろめきながら二つの紙袋に入れて始末をしている姿を目にした。
   お手伝いをしようとして声を掛けたが、老人は軽く会釈をして、「ナンマンダ、ナンマンダ……切符代だけではもったいないな」と独りつぶやきながら車中での一行を続けていかれた。涙があふれ出た。
   釈尊は「物が豊かになればなるほど、人間の欲望は増大する」と警告を与えている。
   世界を震撼させている経済不況も、素朴な伝承の信仰生活から回復されるものであることを垣間見る思いがした。

(H21.4.14〜H21.5.12)

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このページの最終更新日 2009年05月12日