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  時感断想 − 第53回

 1、    人生の最大事        死凝視し今の生見つめ直す


宮林昭彦

1、人生の最大事
死凝視し今の生見つめ直す

2、仏教の看取り
律蔵を淵源にした臨終行儀

3、よく生きよく死ぬ
念仏往生こそが人生の究極

4、臨終の心得を説く
死を見ない生一色の現代





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   最近「おくりびと」という映画が、アカデミー賞の外国語映画賞を受賞して話題を呼んでいる。この「おくりびと」は、「納棺師」があの世に旅立つ死者の遺体を清め、化粧を施し、衣服を整える儀式を執り行ない、さまざまな人間関係や心の動き、人間模様が演じられている。映画が語りかけるものは、死者に対して畏敬の念を抱いて、家族を捨てた父に対する息子の心の遍歴、やがて和解や夫婦・家族の絆の再確認など、いま日本人が忘れかけているものを見つめ直す示唆を与えるものである。
   思えば、現代の日本は家庭生活が崩壊して祖父母、両親、子供、孫ら家族の絆の結びつきが失われている時に、人間関係が問われ、この絆を甦らせるのは、人生最後の別れ、死の場面に最も深い絆が復活し、その時にいろいろな思いの中に生きる力を感ずるのである。
   今のわれわれは死の問題を等閑視して、先送りしてしまっているが、しかし誰でも人生の最後の場面に遭遇する。仏教の立場からいえば、老若男女を問わず、愛別離苦を体験するのであり、死を凝視することは、生きている今の生を見つめ直すことである。
   寺院の活動は"葬式仏教"などと批判めいて見られるが、仏教は本来、生死解脱を説く立場から、生きる道標とともに病苦、死苦よりの救いを示すものであり、特に人生の最大事である臨終についての心構えと看護人の在り方を説いている。
   昨年九月、光明寺で第四回仏教看護・ビハーラ学会が開かれたが、当山を開創した浄土宗第三祖良忠記主禅師(一一九九〜一二八七)の著作に『看病用心鈔』がある。歴史的には平安時代の源信(九四二〜一〇一七)の『往生要集』が臨終行儀の書として有名で、念仏往生の意義とその行法が体系的に説かれている。後に比叡山の二十五三昧会などの実践的な欣求浄土の動きや臨終間近な人に助念を行なうなどの関心が高まり、数多くの臨終行儀が生まれた。

(H21.3.17〜H21.4.7)

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このページの最終更新日 2009年04月07日