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  時感断想 − 第7回

 1、    懺悔(さんげ)の法        罪を滅し、悔い改める


菅原信海

1、懺悔(さんげ)の法
罪を滅し、悔い改める

2、火の回路の影響
仏像や修二会の行儀に

3、仏像と先端技術
CT活用し非破壊調査

4、共存する神と仏
神仏習合へ高まる気運




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 仏教の儀礼には、懺悔(さんげ)の法が多いのに気付く。むしろ、それが主流かも知れない。懺法(せんぼう)とか、悔過(けか)とかいう儀式は、意識するとしないとに拘わらず犯した罪を、悔い改めることである。出家得度のとき、受戒し戒律を守ることを厳しく教え込まれているが、それを守りきることは、なかなか困難である。
 天台宗の日課は、「朝題目、夕念仏」といわれているが、朝題目の題目とは『法華経』のことで、『法華経』で説かれている懺悔法つまり六根懺悔の法を修することなのである。聖武天皇によって、国分寺と国分尼寺とが建立されたが、その尼寺は「法華滅罪之寺」と名づけられた。国のために『法華経』を読誦し、懺悔滅罪を主とする尼寺なのである。
 奈良東大寺の二月堂で行なわれる修二会は、お水取りの行事として有名であるが、主たる行法は秘仏である本尊十一面観音に向かって修する十一面悔過法である。いまは三月一日からはじまる十四日間、毎日その行法を六回練行衆によって修せられ、十二日のお水取りの行事で、最高潮に達する。この悔過は、身口意の罪過を懺悔し、五穀豊穣等を祈ることである。悔過とか懺悔とかいう言葉は、漢訳経典の古くは悔過を用い、南北朝ごろから懺悔の訳語を用いることが多くなったといわれ、悔過も懺悔も、同義の語である。
 京都三千院門跡で行なわれる御懺法講は法華懺法で、やはり『法華経』にもとづく懺悔法で、しかも声明懺法であることに特色がある。声明と雅楽とがうまく組み合わされているのである。毎年五月三十日に三千院宸殿で修される法儀で、もとは京都御所清涼殿などで修せられて「禁中御懺法講」と呼ばれたもの。後白河天皇が宮中ではじめられ、いまは大原三千院に伝承されている。
 この法華懺法は、天台大師智●(ぎ)の『法華三昧懺儀』にもとづく懺悔法であり、慈覚大師円仁によって相伝された。六根(眼耳鼻舌身意)を懺悔して、浄化することによって、はじめて修法の効果が現われるのである。その結果、法華信者を守ってくれる釈尊や普賢菩薩の姿を拝することができるとされている。『法華経』最尾の普賢菩薩勧発品や結経『観普賢菩薩行法経』に説かれる六根清浄の法がもとになって法華懺法の懺悔段・四悔段の五悔(ごげ)が形成されていることはいうまでもない。つまり普賢の行といわれる普賢菩薩の姿を拝する修行が、その根底にあるのである。

(H16.9.26〜H16.11.16)

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このページの最終更新日2004/11/22